異端の古代史のブログ

古代史の定説を切る

原人の誕生

原人
 アフリカから様々な猿人原人の化石が出土しており、これが現生人類の生誕地がアフリカであると言う説の有力な根拠となっている。


 しかし、人類の直接の祖先はエレクトス(ジャワ原人)であり、ホモ・エレクトスは190万年前前から現生人類の誕生直前30万年前(人によっては数万年前)まで生き残っていたと考えられている。その他の猿人原人は150万年前位に殆どが絶滅している。
アフリカで見つかる原人の骨は偶々その辺に転がっている骨が原人の骨と言う事で生活感が無い。アジアの多くの地域で見つかる原人は洞窟で生活していた。
エレクトスの化石は広い範囲で見つかっているが、アフリカにはない。一番多く見つかっているのはインドネシアからである。日本と同じように火山が多く酸性土壌のインドネシアでエレクトスの化石が一番多く見つかっている事を考えれば、アフリカよりインドネシアに源流があった可能性が高いのではないか。


 アフリカにしろ、ヨーロッパにしろ、単発的に古人骨が出土するけれど、インドネシアのジャワ原人のように長年に渡って同じ地域に棲息していた例は無い。ジャワ原人は、長年に渡って海底に沈んでいた土地が海底隆起で陸になった場所から発見された物なのだ。その地域には、氷河期にはスンダランド、サフルランドと言う大陸があって、今は温暖化の海進によって大部分が海底に有る。何度も訪れた氷期や温暖化の陸地が大きかった時代にサフルランド、スンダランドで原人や人間が生まれ、陸地が後退した時代に海流によってアフリカや中東に原人も新人も何度も流れて行った。アフリカで生まれたのではない原人や新人の骨が、幾つもアフリカで発見されたと言う事はそう言う事なのではないか?


旧人(ホミニン)
 原人から進化して旧人が生まれる。ほぼ現生人類と変わらない知能などを持ち合わせていたと信じられている。
その現生人類と違う系統の人類にネアンデルタール人と、デニソワ人がいる。いずれもエレクトスから40~70万年前に分岐したと考えられている。


 ネアンデルタール人の骨は欧州で沢山見つかっている。現生人類より体も頭も大きく、脳容量も多かった。ヨーロッパではアジアから後期旧石器が齎される前は現生人類より高度な石器を使っていたらしい。ネアンデルタール人の人骨から抽出されたDNAによれば肌色が白く、髪の毛も金髪だったようだ。たぶん北方でしか生きられない人種だったようだ。


 ネアンデルタール人と現生人類は殆ど全く交わることなく生活していて、3万年前位に滅んだとされているが、最近、現生人類のDNAの中に2~3%の遺伝子が紛れ込んでいる事が判った。東アジア人やヨーロッパ人にこれがある。アフリカ人にはこれが全くないと言う。ネアンデルタール人がどこで生まれたにしろ、南方では生きられない人類なのでアフリカ人と交わるチャンスが無かったのだろう。例えば極端な寒冷化の際は南方には行けないから、氷河時代の最寒期には滅ぶしかない。


 一方、デニソワ人の人骨は中央アジアのアルタイ地方にあるデニソワ洞窟の4万年前位の地層から見つかった。全身骨格が見つかっていないのではっきりした事は判らないが、ネアンデルタール人と近種であるとされる。これも東南アジア人に沢山の遺伝子が残っている。デニソワ洞窟からはその下の地層からネアンデルタール人の化石も見つかっている。洞窟で見つかったデニソワ人は近親婚を繰り返していたらしい。ネアンデルタール人も少人数で各集団が孤立して生活いていたと言われ、やはり近親婚が多かったようである。このあたりが絶滅の原因か。ひょっとすると北京原人の末裔かも知れない。


 ネアンデルタール人の遺伝子が現生人類に齎されたのは、ネアンデルタール人が同族の中で伴侶を見つけられず、雄が現生人類との交雑を選んだからであろう。デニソワ人の遺伝子が東南アジア人に多く有るのも絶滅前に雄が現生人類と交雑したと考えられる。デニソワ人も似たような感じだったかもしれない。


 ネアンデルタール人の骨が欧州で多く見つかった事からネアンデルタール人はホモサピエンスより早くアフリカを出て欧州に展開したと思われていたが、現生人の遺伝子を分析したところ東南アジア人にネアンデルタール人や、とりわけデニソワ人の遺伝子が多く含まれることが判って、ネアンデルタール人もデニソワ人も東南アジアにいたのではないかと思われるようになってきた。
現生人類のアフリカ一元説も当然揺らいできている。


 もう一つインドネシアのフローレス島の洞窟から身長1mほどの小人の人骨が見つかり、1万2千年前まで生きていた事が判った。インドネシアでは古人骨から遺伝子の抽出が難しく、遺伝関係が良く解らないが、脳容量も現生人類の半分くらいしかないのに高度な石器を使っていて、現生人類の亜種ではないかとも言われている。東南アジアには130cm位の身長のネグリトと言う人も棲んでいる。ネグリトとフローレス人は近種かもしれない。そして9万年前からその人たちは居たとされているのである。現在でもインドネシアの島々には1.3mから1.5mと言う身長の低い人が棲んでいて、みなホモサピエンスである。フローレス人は2万年前には、日本の先新石器時代(1万5千年前と言われる)の細石刃石器を持っていたらしい。


 他にもオーストラリアでは新人らしい人骨が出た地層より上の地層から旧人らしい人骨が出たりと、東南アジアを中心に新人と旧人が入り乱れて生活していた可能性がある。東南アジアに多くのデニソワ人の遺伝子が残っているのもその為であろう。遺伝子の多様性はアフリカではなく、東南、南アジアなのだ。


新人類がアフリカを出たのは5万年前とも7万年前とも言われているが、フローレス島に棲んでいたホビットが新人類なら、明らかに人類アフリカ生誕説は間違いである。


アンダマン島のネグリト
 アンダマン島のオンゲ族、シャラワ族など、日本人の持っている性染色体Y-DNAが日本のアイヌや沖縄人が色濃く保持していて、本土人も40%が持っているY-Dを100%持っている事で有名だが、ミトコンドリア遺伝子を詳細に調査した結果、その由来はアフリカを出た人類が東南アジアに向かう途中ではぐれてアンダマンに残ったのではなく、東南アジア(インドネシア)から行った人間である事が判った。


しかも、その遺伝子には未知の人類(ホミニン)の遺伝子が入っている事も判った。


東南アジアにはこれも良く解らない、フローレスシエンシスと言う極めて小さい人間が棲んでいて,数万年間に絶滅した事が判っている。アルタイの山中で見つかったデニソバンと言う旧人も、東南アジア人に多くの遺伝子を残しているので、元は東南アジアに居た可能性が高い。


東南アジアには多様な初期人類ホミニンが居たのである。人類の発祥地がアフリカではなく、東南アジアの可能性が高い事になろう。(2018.2,15)